イベントなどで登山用ヘルメットのご紹介をしていると、多くの方に質問を受けるのが「自転車用のヘルメットは持っているんだけど、それを登山に使っても良いの?」(またはその逆)というご質問です。
ですので、今回はそのご質問にお答えするべく、お店などで売っている「○○用のヘルメット」が何を基準に決められているのかについてご紹介したいと思います。

 

『登山用』と謳われているヘルメットには、日本であれば一般社団法人製品安全協会が定める「SG規格」、海外も含めると、国際山岳連盟によって定められた「UIAA 106」と、ヨーロッパの登山用ヘルメットの安全基準である「EN 12492」という規格が存在します。少なくともこれらのうちのどれかの規格に適合(または準拠)していると証明されていれば「登山用ヘルメット」であるということができます。

 

では、その証明はどうやってされるのかというと、
●「登山用ヘルメット」の各規格が求める構造上の条件を満たしていること
●それらの規格の定める性能テストに合格していること

これが条件になります。そして、性能テストに合格して規格に適合していると証明されれば、製品に規格適合品のマークをつけることができます。
 

登山用ヘルメットの規格

<FLUQUE内側の規格適合マーク>

 
 

一方、見た目はヘルメットでも「登山用」とは明記されておらず、「登山・自転車・スキーなどのスポーツ用ヘルメット」あるいは「プロテクター」といった説明で販売されている製品を見かけることがあると思います。
これは、こういった規格が求めている性能テストを実施していないなどの理由で、規格で定められた条件に“適合(または準拠)しているという証明”ができないため、用途を明示せずに販売されていることが多いと思われます。ある程度の頭部保護性能は持っているとは思いますが、どの程度かは証明できない、ということです。

 

また、もちろん『登山用』以外にも、自転車用やスキー用、バイク用など、様々な分野にそれぞれの安全基準となる規格と試験方法があり、それらに適合した「○○用ヘルメット」が存在します。
これらの主な「○○用ヘルメット」の安全基準の特徴を、分かりやすいように簡単に説明すると、次のようになります。

 

ヘルメットの種類 規格の特徴
登山・クライミング用
ヘルメット
  • ・主に落石と転倒を想定し、頭頂部と側頭部に強度を持たせる。
    ・転倒を想定した側頭部の保護は、人間が歩いていて倒れたときの衝撃を前提としている。
    ・活動時の快適性維持のため、通気のための穴の設置が必須となっている。(ただし、先鋭物に対する防御機能が必要であるため、穴を開ける面積や位置は限定される)
    ・あごひもは転落時に脱落しない強度を持たせる。
自転車用ヘルメット
  • ・主に走行時の転倒を想定し、側頭部にも比較的大きな強度を持たせる。
    ・転倒を想定した側頭部の保護は、自転車で走行していて倒れたときのスピードが前提(歩行時よりも高速での移動が前提)。
    ・暑くなることと風による抵抗を極力受けないようにするため、穴が大きく、且つ数多く開いている(自転車用は先鋭物に対する防護機能の規定がないので、転倒時の衝撃吸収が出来れば穴の大きさや範囲に限定はない)。
    ・あごひもは転倒時に脱落しない強度を持たせる。
バイク用ヘルメット
  • ・主に高速走行時の転倒を想定し、頭部全域にわたって大きな強度を持たせる。
    ・転倒を想定した頭部の保護は、バイクで走行していて倒れたときのスピードが前提(非常に高速での移動が前提)
    ・高速度から生じる大きな衝撃を緩衝するため、重量は重め。軽量化よりも頑丈さが優先。
    ・あごひもは転倒時に脱落しない強度を持たせる。
スキー用ヘルメット
  • ・主に高速滑走時の転倒を想定し、頭部全域にわたって大きな強度を持たせる。
    ・転倒を想定した頭部の保護は、スキーで滑走していて倒れたときのスピードが前提(非常に高速での移動が前提)
    ・高速度から生じる大きな衝撃を緩衝するため、軽量化よりも頑丈さが優先。寒い場所で使用するため、ムレを逃がす穴も最低限でよい。
    ・あごひもは転倒時に脱落しない強度を持たせる。
カヌー用ヘルメット
  • ・川の中で流された際に岩などへの衝突から頭を守る。
    ・内部に水が溜まるのを防ぐため、大きめの穴が空いた構造となっている。
    ・水中に転落したときに重りにならないように、水に浮くことが必須。
    ・あごひもは水中でも脱落しないように強度を持たせる。

 

このように、それぞれの目的に合わせて「頭部のどこを保護するのか?」「風を通すのか?通す必要がないのか?」「簡易・軽量化を優先するのか頑丈さを堅持するのか?」といった機能の違いが出てきます。

 

このため、「全部のスポーツに共通して使えるヘルメットを作って欲しい!」というお声もいただくのですが、例えば “自転車のスピードもスキーのスピードも歩くスピードも想定しつつ、どのスピードで転倒しても大丈夫で落石からも守れるヘルメット” を作ってしまうと、いざ登山に持っていくにはとても重くて価格も高い、大変オーバースペックで不便なものが出来てしまう、ということになってしまいます。

 

そういうわけで、やっぱりそれぞれの用途に合うヘルメットを利用することが、最も安全で快適に使うことができるということになると思います。そのため、メーカーとしてはやはり「登山には登山用の規格に適合したヘルメット」をお薦めさせていただいています。

 
 

■「UIAA 106」「EN 12492」を取得した登山用ヘルメット「FLUQUE」はこちら→http://ravina.bz/category/ALL/RFA0000.html
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ravinya(らびーにゃ)です。ブランド名の『ravina』と今をときめくお猫様にあやかって、ravinyaと名乗らせていただいてます。
2015年のGWに山デビュー。以来、月1~2回の登山とジョギング・ボルダリング等で徐々に体力向上中。2016年に登って良かった山は、宮之浦岳、会津駒ヶ岳、白馬岳です。2017年の目標、表銀座縦走行って来ました!
twitterの山ガール部(@ravina_yamagirl )の中の人。